客观日本

日语考试:JLPT二级真题01年-2

2013年09月09日 日语学习、日语考试

2001 2級

読解・文法

(200点 70分)

 

問題Ⅰ 次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。答えは、1・2・3・4から最も適当なものを一つ選びなさい。

 

 私は欲望(注1)のかたまりです。そして、欲望は膨張(注2)をつづける宇宙のように限りがありません。

 ①こんな話を想像してみましょう。ある中学生がお父さんやお母さんから毎月もらうお小遣いが、今までの2000円から一気に(注3)20万円になったらどうするでしょうか?彼の欲望はとどまるところを知らず、前からほしいと思っていたものを全部手に入れようと、お小遣いを持って②お店に飛んでいくに違いありません。

 (中略)

 しかし、地球上の子供たちが全員、20万円もお小遣いをもらって、好きなものを買うとしましょう。そんなことは可能でしょうか。

 欲望が無限にあるのは、じつは大人だって同じです。大人も買いたいものを何でも買うとしたらどうでしょうか。でも、③そんなことはしようと思ってもできっこない話なのです。なぜかというと、地球上に存在する全工場をフル稼働(注4)しても、無限にたくさんのものをつくることはできません。④人間の技術はまだそこまで進んではいません。

 労働者の数だって限られています。機械設備も限られています。農産物を作るにも、農地には限りがあります。みんなが大きな家に住みたくても住めないのは、土地が足りないというだけでなく、そんなことをすればたちまち、地球上の森林から木が切り出されて、あっという間に地球は丸裸(注5)になってしまうからです。

 つまり、最も大事なことは、私たちの欲望は無限だけれど、工場や機械設備、労働力、森林、農地、住宅地、石油など、商品を生産するための経済資源は有限だということです。経済資源は有限だから、私たちの欲望のうち、つまりほしいもののうち、一部分しか手に入らないのです。別の言い方をすると、経済資源が有限なので生産されるものも有限ということになります。だから、私たちの手に入る「所得(注6)」も有限。すなわち、商品を買うための予算も有限ということになります。

 ⑤このことを説明するのに、経済学では「稀少性」(Scarcity)という言葉を使います。「稀少性」とは、人間の欲望をすべて満足させるだけの経済資源は地球上には存在しないという厳しい現実を示すじつに簡潔な(注7)言葉です。

 稀少な経済資源を使って、人間の生活をどうやって豊かにすることができるのか。⑥このことこそ、経済学の最も大きな目標です。

 

(中谷厳『痛快!経済学』集英社インターナショナルによる)

 

(注1)欲望「よくぼう」欲しいと思う気持ち

(注2)膨張「ぼうちょう」ふくらむこと

(注3)一気に「いっきに」一度に

(注4)フル稼働「かどう」性能いっぱいにすべてを休みなく動かすこと

(注5)丸裸「まるはだか」ここでは、木がすべてなくなった状態

(注6)所得「しょとく」収入

(注7)簡潔な「かんけつな」簡単でわかりやすい

 

問1 ①「こんな話」とは、どんな内容の話か。

 1 人間の欲望は宇宙と同じだという話

 2 人間は欲望のかたまりであるという話

 3 小遣いをたくさんもらいすぎて困った話

 4 中学生の1か月にもらう小遣いが増える話

 

問2 ②「お店に飛んでいく」とあるが、どうするつもりか。

 1 欲しいものを全部買うつもりだ。

 2 お店のものを全部買うつもりだ。

 3 友だちより早く行くつもりだ。

 4 大人より早く行くつもりだ。

 

問3 ③「そんなことはしようと思ってもできっこない」とは、どのような意味か。

 1 20万円で欲しいものを何でも買うことができるわけがない。

 2 大人でもほしいものが何でも買えるということはあり得ない。

 3 大人は欲しいものを自由に買うお金をもらうわけにはいかない。

 4 子供ならできるが、大人は20万円では欲しいものが買えない。

 

問4 ④「人間の技術はまだそこまで進んではいません」とあるが「そこまで」とは何を指しているか。

 1 人間の欲望をおさえること

 2 ものを限りなく作り出すこと

 3 ものを早く安く作り出すこと

 4 世界中の工場を一斉に動かすこと

 

問5 ⑤「みんなが大きな家に住みたくても住めない」とあるが、それはなぜか。

 1 土地が足りない上に、家を建てる労働者の数や機械設備も十分にはないから。

 2 土地が足りないというよりむしろ、家を建てる木そのものが不足しているから。

 3 土地が足りない上に、みんなが大きな家を建てたら、材料の木もなくなるから。

 4 土地が足りないというよりむしろ、農産物をつくる農地をつぶすことになるから。

 

問6 ⑥「このこと」とは何か。

 1 経済資源が限られているから、物を作り出す工場や農地も不足しているということ

 2 経済資源が限られているから、欲しいものをすべて手に入れることはできないということ

 3 人間の欲望は限られているから、欲しいものをすべて手には入れようとは思わないということ

 4 人間の欲望は限られているから、ものを作り出す工場や農地も無限に必要ではないということ

 

問7 筆者によると、経済学とはどのような学問か。

 1 有限な経済資源を無限にして人間の欲望を満足させる方法を考える学問

 2 人間の欲望が有限であることを「稀少性」という見方から考える学問

 3 限られた経済資源を有効に使って生活を豊かにする方法を考える学問

 4 限られた資源から何を優先させて生産したら経済的かを考える学問

 

問題Ⅱ 次の(1)と(2)の文章を読んで、それぞれの問いに対する答えとして最も適当なものを1•2•3•4から一つ選びなさい。

 

(1)ハトを使って絵画を見わける実験をおこなってみよう。実験では10枚のピカソ(注1)の絵と10枚のモネ(注1)の絵をつかった。ハトは訓練用の小さな実験箱に入れられる。実験箱にはスクリーン(注2)があり、スライド(注3)?プロジェクターで絵が映しだされる。

 ピカソの絵が映されたときにスクリーンをつつけば餌があたえられ、モネの絵の時には餌がもらえない。また、別のハトは逆にモネの絵では餌をもらえ、ピカソの絵ではもらえないという訓練をうける。ハトはおよそ20日間程度の訓練で①この区別ができるようになる。ハトはモネの絵とピカソの絵がわかるようになったのだろうか。

 これはハトがピカソとモネの区別ができるようになったからではなく、20枚の絵を丸暗記(注4)しておぼえただけのことかもしれない。実際ハトはこのくらいの数の意味のない図をまるごと(注5)おぼえる記憶力を持っている。( ② )、ハトは訓練につかわなかった、初めて見る絵を見せられた場合でも、それがモネの絵であるかピカソの絵であるかを区別したのである。ハトは訓練のつかわれた特定の絵を丸暗記したのではなく、「ピカソ」の作品、「モネ」の作品という③作風の区別をおぼえたと考えられる。

 

(渡辺茂『ピカソを見わけるハト』日本放送出版協会による)

 

(注1)ピカソ、モネ:ヨーロッパの画家の名前

(注2)スクリーン:スライドを大きく映す幕

(注3)スライド•プロジェクター:スライドを映す機械

(注4)丸暗記する「まるあんきする」:全部そのまま記憶する

(注5)まること:そのまま全部

 

問1 筆者は実験の使ったハトにどのように絵を見せたのか。

 1 ピカソの絵を見せるハトとモネの絵を見せるハトとに分けた。

 2 全部のハトにピカソとモネの両方の絵を見せた。

 3 全部のハトにピカソの描いた絵だけを見せた。

 4 全部のハトにモネの描いた絵だけを見せた。

 

問2 ハトがどのようなことをした場合に、①「この区別ができる」と筆者は判断したのか。

 1 餌がもらえる絵を見たとき、スクリーンをつついた場合

 2 餌がもらえない絵を見たとき、スクリーンをつついた場合

 3 ピカソとモネの絵を見ても、スクリーンをつつかなかった場合

 4 ピカソとモネの両方の絵を見たとき、スクリーンをつついた場合

 

問3 ( ② )に入ることばは次のどれか。

 1 それから

 2 もちろん

 3 しかし

 4 一方

 

問4 ③「作風の区別をおぼえた」とあるが、どのようなことか。

 1 始めてみた場合でも、ピカソとハトの絵がすぐおぼえられるようになった。

 2 ピカソとモネの絵を10枚ずつおぼえて、その区別ができるようになった。

 3 ピカソやモネの絵とほかの画家が描いた絵を区別できるようになった。

 4 ピカソの絵の特徴とモネの絵の特徴が区別できるようになった。

 

(2)子供に食事のマナー(注1)を教えるときは、“〇〇すべきである”“〇〇しなくではならない”というように、自分の考え方を押し付けるのでは子供たちは納得しません。子供たちは、「美しい食べ方をしていると、人から“すてきだ”とか“かっこいい”とか思われる」という経験を通して、美しいマナーの意味を納得するのです。

 それには、家庭や学校などの集団の中で、子供自身に自分のありよう(注2)を意識させることです。そして、きれいで美しい食べ方ができたときには「きれいに食べられたね」「かっこよく見えるよ」とほめてあげましょう。

 子供はほめられたことで「またこのようにしてみよう」と思います。こうして(中略)美しいマナーが習慣となり、その場に応じた美しい自己(注3)のふるまいを身につけていくことができるのでしょう。

 ところで、皆さんは食事のマナーが成立するには“他者との関係”が不可欠(注4)であることにお気づきでしょうか。

 人は人前で食事をするとき、一人で食べるよりもそれなりに整った食べ方をしようとするものです。それは「自分をよく見せない、人からよく見られたい」という気持ちが根底(注5)にあるからです。だから食事のマナーを身につける必要性が自然に生ずるのです。

 一方、一人で食事をとるときは、食事のマナーを感ずることが少ないのではないでしょうか。近頃の家庭の多く見られる“子供の孤食”は、子供に適切なマナー観(注6)を身につけさせるという意味においても考慮すべき問題であるといえるのです。

 

(女子栄養大学出版部『栄養と料理』1999年2月号による)

 

(注1)マナー:行儀•作法

(注2)ありよう:ようす•姿

(注3)自己「じこ」:自分自身

(注4)不可欠:なくてはならないもの、どうしても必要なもの

(注5)根底:基本、もと

(注6)マナー観:マナーについての考え方

 

問1 「自分のありようを意識させる」とあるが、どういうことか。

 1 自分のふるまいがきれいかどうかを意識させる。

 2 他の人に自分が迷惑をかけているのだと意識させる。

 3 他の人から見て自分が美しく見えているのだと意識させる。

 4 家庭や学校等の集団の中で自分の置かれている立場を意識させる。

 

問2 子供に食事のマナーを身につけさせるために筆者がすすめているのは、どれか。

 1 親の考え方を子供に押し付ける。

 2 時々、一人で食事をさせるようにする。

 3 子供が美しく食べたときにほめてやる。

 4 子供にマナーの意味を説明して納得させる。

 

問3 子供が一人で食事をする「孤食」について、筆者はどのように考えているか。

 1 一人で食事をしていると正しいマナーが身につきにくい。

 2 一人で食事をすることで適切なマナー観が身についていく。

 3 人は一人で食べるときの方が正しい食べ方をしようとする。

 4 一人で食事をするときでも正しいマナーで食べなければならない。

 

問題Ⅲ 次の(1)から(5)の文章を読んで、それぞれの問いに対する答えとして最も適当なものを1•2•3•4から一つ選びなさい。

 

(1)日の出、日の入りは太陽の上のヘリ(注1)が地平線にかかった瞬間をいうことは比較的よく知られています。

 つまり、日の出とは太陽の上のヘリが地平線に顔をのぞかせた(注2)瞬間、日の入りとは太陽の上のヘリが地平線に沈んで、太陽がまったく見えなくなった瞬間です。

 このことから類推して(注3)、月の出、月の入りも同じように決められえているのだろうと思っている人が多いようですが、月の場合は違います。

 月の出、月の入りとは、月の中心が地平線にかかった瞬間をいうのです。

 では、なぜ月の場合は太陽と違う基準を採用して(注4)いるのでしょうか。

 そのわけは、月には満ち欠けの現象があるからです。上のヘリと決めたのでは、三日月のときなど観測が難しくなります。月の中心でしたら、三日月の場合でも、弧(注5)の一部から円の中心を求めるのと同じで、すぐにわかります。

 

(日本社『つい誰かに話したくなる雑学の本』購談社による)

 

(注1)へり:ふち、はし

(注2)顔をのぞかせる:一部分が見える

(注3)類推する「るいすいする」:すでにわかっていることをもとに、他のことについて判断する

(注4)採用する「さいようする」:選んで使う

(注5)弧「こ」:円周の一部分

 

問1 日の出の瞬間はどれか。

 

問2 月の場合は、太陽と違う基準を採用しているのはなぜか。

 1 月は太陽と違って中心が移動するから。

 2 月は太陽と違ってその形が変わるから。

 3 月は太陽と違って観測する時間が変わるから。

 4 月は太陽と違ってヘリとする位置が動かないから。

 

(2)「今週末は快晴に恵まれそうです」。こんな天気予報を聞いて、いつからいつまでを「週末」だとイメージするか。答えは土曜、日曜という人が5割。「常識的」と感じるかもしれないが、残りの5割はそう考えていないと思うと、ちょっと驚く。

 これはNHKの放送文化研究所が定期的に実施している言葉遣いに関する全国調査の一部。昨年11月のアンケート(注1)で20歳以上の男女約1400人が回答した。「週末」については20代で四人に一人が、金曜の夜から日曜の夜までと比較的長くとらえて(注2)いる。週休二日制が当たり前、という生活スタイルが身についているせいだろう。

 一方、60代以上になると週末は土曜だけと考える人が19%。日曜は「末」ではなく、あくまで一週間のははじまりの日ということだ。単純な言葉一つとっても「常識」にはずいぶんと幅がある。

 

(「女性かわらばん」2000年2月14日付日本経済新聞による)

 

(注1)アンケート:おおぜいの人に同じ質問をする調査

(注2)とらえる:考える

 

【問い】 「週末」に関するアンケートで、調査結果と合っているものはどれか。

 1 20代の人の半数が週末を金曜、土曜、日曜の三日間だと考えている。

 2 20代の人の約25%が週末を土曜、日曜の二日間だと考えている。

 3 60代以上の人のほとんどが週末を日曜だけだと考えている。

 4 60代以上の人の19%が週末を土曜だけだと考えている。

 

(3)テレビの名司会者はインタビューによって相手のゲスト(注1)からいろいろおもしろい話を引き出すことができるので感心するのですが、素人が司会をしてもこうはうまくかないでしょう。型どおりの挨拶くらいはできるとしても、内容のある深い話を聞き出してゲストの持ち味(注2)をうまく生かすことは大変難しいことです。それには司会者としての特殊なタレント性(注3)が必要なようです。

 

(池田央『テストの科学』日本文化科学社による)

 

(注1)ゲスト:ここでは「番組に招待された人」の意味

(注2)持ち味:その人の持っている独特のよさ

(注3)タレント性:才能

 

【問い】 名司会者とはどのような人か。

 1 いろいろなおもしろい話ができる人

 2 ゲストのよいところを引き出せる人

 3 ゲストが楽しむ話を引き出せる人

 4 深くて内容のある挨拶ができる人

 

 

(4)人が所有して(注1)いる働く能力を、( ① )能力、( ② )能力、概念化能力、( ③ )能力の四種類で説明する考え方があります。

 ( ① )能力とは、ものをつくったり販売したり、サービスをする場合の業務を果たす(注2)能力のことです。( ② )能力は、ドラッカー(注3)のいう「他の人間とともに働く能力」のことです。概念化能力とは、物事の論理を言葉に換える能力のことと考えればいいでしょう。そして( ③ )能力とは、( ① )能力、( ② )能力、概念化能力を情報してまとめ、システム(注4)に仕上げて他人に伝えやすく、検証(注5)しやすいように変える能力のことです。

 

 

(森清『会社で働くということ』岩波書店による)

 

(注1)所有する「しょゆうする」:持つ

(注2)業務を果たす「ぎょうむをはたす」:仕事をきちんとやる

(注3)ドラッカー:アメリカの経営学者

(注4)システム:組織、体系

(注5)検証する「けんしょうする」:実際に調べて確認する

 

【問い】 ( ① )から( ③ )に入る適当な言葉はどれか。

  1 ①人間対応       ②情報化         ③技術

  2 ①情報化        ②人間対応        ③技術

  3 ①技術         ②人間対応        ③情報化