客观日本

「産官学連携の好事例 青色LEDの3日本人にノーベル物理学賞」

2014年10月30日 科学家访谈

スウェーデン王立アカデミーは10月7日、青色発光ダイオード(青色LED)を開発した赤﨑勇名城大学教授(85)と天野浩名古屋大学教授(54)、中村修二米カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授(60)の3人に今年のノーベル物理学賞を贈ると発表した。

受賞理由は「省エネで環境に優しい新光源としての青色LEDの発明」。この発明によって、これまでよりエネルギー効率がよく、環境にやさしい長寿命の照明が実現した意義を高く評価している。

3氏特に赤﨑、中村両氏の業績は国際的にもよく知られており、何年も前からノーベル賞受賞の呼び声が高かった。赤﨑氏は2009年に京都賞を受賞、中村氏は米国の情報企業「トムソン・ロイター」が論文の被引用数などから毎年、発表するノーベル賞受賞有力候補として既に2005年に名前が挙がっている。

その意味では科学界、マスメディアなどにとってそれほど意外な受賞ではなかったが、過去の日本人受賞とはやや異なる喜びの声が、各界から聞かれた。

3氏の専門領域をカバーする応用物理学会は、3氏の受賞を祝う河田聡会長の声明の中で、「高効率青色LEDや高輝度白色光源の基礎から応用・製品化まで、発明・開発に直接関わり、日本発の世界に誇るイノベーションをもたらした」と3氏の業績を高く評価した。スェーデン王立科学アカデミーが受賞の根拠として挙げた16本の論文のうち10本が、同学会発行の国際学術論文誌「The Japanese Journal of Applied Physics (JJAP)」に掲載された論文であることも指摘し、日本の応用物理学と論文誌のレベルの高さも強調している。

国内では何年も前から「死の谷」という言葉が盛んに使われている。基礎的研究成果が付加価値の高い製品開発など産業化に結びついていないことに対する危機感を表す言葉だ。10月10日、下村博文文部科学相が定例記者会見で「優れた技術シーズを事業化につなげた好事例」と3氏の業績をたたえたのは、そうした背景によるとみられる。下村文部科学相はさらに、発光ダイオード関連の世界市場規模が1兆6,000億円にも上ることを挙げ、「青色LEDが実現されていなければ、ここまでの市場規模にまで拡大することはなかった。まさに世界を変えたイノベーションと言える」と高い評価を与えた。

3氏の受賞を歓迎する声は、研究費を配分するファンディング機関にも多い。赤﨑氏は1985年に高品質窒化ガリウムの単結晶作製に成功した後、豊田合成株式会社とともに青色発光LEDの開発を進め91年に世界に先駆けて開発に成功、95年に事業化を成し遂げた。86年から5年間にわたり、これを資金面から支援したのが科学技術振興機構の前身である新技術事業団の「委託開発制度」と呼ばれる企業支援事業である。その後、天野氏の研究成果も加え、93年から2001年まで同じ委託開発制度により、窒化ガリウム系短波長半導体レーザーの製造技術開発が進められた。こちらは青紫半導体レーザーとして実用化され、現在、ブルーレイディスクの光源などにも使われている。

科学技術振興機構によると、95年に事業化された豊田合成の青色LEDを利用した携帯電話や大型フルカラーディスプレーなど応用製品の売り上げは、97年から2005年までの9年間だけで約3兆6,000億円に達し、国に対して特許実施料として約46億円の収入をもたらしている。下村文部科学相によると、赤﨑、天野両氏に対する文部科学省関連の支援は企業への開発費を含めてこれまで約22億円に及ぶが、一方、国などへの特許実施料などの見返りは70億円を超した、という。

今回の受賞でもう一つ特徴的なことは工学系の研究者にも歓迎する声が高いことだ。ノーベル賞の中でも、特に物理学賞は理学系の研究者に贈られることが多い。今回の受賞者3人のうち、天野、中村両氏は工学部の卒業だ。天野氏の業績は豊田合成、中村氏は日亜化学工業という企業との関係なしに語れない。中村氏の出身大学である徳島大学の河村保彦工学部長は、受賞を祝う声明の中で、社員だった中村氏に青色LED研究を許した日亜化学工業の故小川信雄会長と同社経営陣、技術陣の役割をたたえ、「今回の受賞は、わが国の産学官共同の研究課題推進が功を奏した特筆すべき例」と評価している。

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関連記事・サイト

2014年10月7日サイエンスポータル・ニュース速報「ノーベル物理学賞に青色LEDの赤﨑、天野、中村氏)

2013年3月29日サイエンスポータル・科学のおすすめ本「青い光に魅せられて‐青色LED開発物語-」

http://scienceportal.jp/columns/recommend/20130329_01.html

2009年6月19日サイエンスポータル・ニュース「青色発光ダイオードの赤﨑勇氏らに京都賞」

http://scienceportal.jst.go.jp/news/daily/0906/0906192.html

2009年3月13日サイエンスポータル・ハイライト・中村 修二 氏(カリフォルニア大学 サンタバーバラ校 教授)「自分のアイディアを武器に」

http://scienceportal.jst.go.jp/highlight/2009/090313.html

2008年10月 6日サイエンスポータル・オピニオン・矢部 彰 氏・産業技術総合研究所 理事【死の谷越えの方法論

 2007年 6月19日サイエンスポータル・ニュース「委託開発の成功例、青色発光ダイオード」

http://scienceportal.jst.go.jp/news/review/0706/0706191.html

2005年9月2日トムソン・ロイター「2005年ノーベル賞の有力候補者を発表」

http://ip-science.thomsonreuters.jp/press/release/2005/8288580/

下村博文文部科学大臣記者会見録(2014年10月10日)

http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1352484.htm

応用物理学会・河田聡会長「2014年度ノーベル物理学賞受賞に対する会長メッセージ」

http://www.jsap.or.jp/nobelprize2014/

科学技術振興機構・中村道治理事長「赤﨑勇博士、天野浩博士、中村修二博士 ノーベル物理学賞受賞をお祝いして」(2014年10月7日)

http://www.jst.go.jp/danwa20141007.html

徳島大学・河村保彦工学部長「本学部卒業生 中村修二教授(カリフォルニア大学サンタバーバラ校)がノーベル物理学賞を受賞されました」(2014年10月8日)

http://www.tokushima-u.ac.jp/e/docs/2014100800017/

 

スウェーデン王立科学アカデミーが受賞の根拠として16本の論文を挙げていますが,そのうち10本がJJAP掲載論文です

赤﨑先生,天野先生,中村先生は高効率青色LEDや高輝度白色光源の基礎から応用・製品化まで,発明・開発に直接関わり,日本発の世界に誇るイノベーションをもたらしました.応用物理学会では学生や若い研究者が,応用物理学会という舞台で,大きな業績を挙げられた先生方を偉大な目標として切磋琢磨することで,第二,第三のノーベル賞受賞者が現れることを期待しています.

応用物理学会会長 河田 聡

 

2014年のノーベル物理学賞に、青色発光ダイオードを開発した赤﨑勇(あかさき いさむ)名城大学教授(85)と天野浩(あまの ひろし)名古屋大学教授(54)、中村修二(なかむら しゅうじ)米カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授(60)の3人が決まった。スウェーデン王立科学アカデミーが10月7日発表した。

日本人のノーベル賞受賞は2012年の山中伸弥・京都大学教授の医学生理学賞に次ぎ計22人となった。日本人3人が共同受賞するのは、2008年に素粒子論でノーベル物理学賞を南部陽一郎、小林誠、益川敏英の3氏が受賞して以来、2回目の快挙。物理学賞はこれで計10人となった。

授賞理由は「省エネで環境に優しい新光源としての青色発光ダイオード(LED)の発明」。3教授は1990年代初めに、窒化ガリウムで青色LEDの半導体を発明した。既存の赤と緑に加えて3原色がそろったことで、LEDの白色ランプを実現し、世界の照明に革命をもたらした。この研究はさらに青色レーザーにつながり、ブルーレイディスクに発展した。

青色LEDはそれまで30年間も追求されながら、良質の窒化物半導体作製が難しく、「20世紀中は不可能」とされていた。その中で、赤﨑勇、天野浩の両教授は名古屋大学で共同研究し、窒化ガリウム半導体を作り、青色LED作製に成功した。中村修二教授は、徳島県阿南市の日亜化学で研究開発に取り組み、青色LEDを低コストで大量に生産する技術を確立した。

3教授の業績で、LED 照明が商品化されて広く普及し、白熱灯の時代だった20世紀から、21世紀は消費電力が少なくて、長持ちする利点があるLED灯の時代へ展開した。

赤﨑勇教授は1929年鹿児島県生まれ、京都大学を卒業し、松下電器産業を経て、名古屋大学教授を歴任し、1992年から名城大学教授。天野浩教授は、1960年浜松市生まれ、名古屋大学の赤﨑教授の下で学び、名城大学教授を経て2010年から名古屋大学教授。中村修二教授は1954年愛媛県生まれ、徳島大学を卒業し、日亜化学を経て、渡米して2000年からカリフォルニア大学サンタバーバラ校教授。

 

下村博文文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 1点あります。ノーベル物理学賞の受賞についてであります。
 本日の閣議におきまして、日本人によるノーベル物理学賞受賞についての報告をいたしました。
 今回の受賞は、我が国発の技術である青色発光ダイオードが、長寿命や省エネルギーという観点で地球環境問題等に大きく貢献していることが評価されたものと受け止めております。
 我が国の基礎研究や技術開発の水準の高さを国内外に示すことができ、非常に喜ばしく思うとともに、2点について思いを新たにいたしました。
 1点目は、3人の方々は先入観にとらわれず、また、一度や二度の失敗には屈せず、こつこつと諦めず努力を続けられた結果が大きな成果を生み出す、そういうことについての独創的そして勤勉な姿勢、これが我が国におけるものづくりの強さの源泉であるということを改めて再認識をいたしました。
 もう1点は、青色発光ダイオードの事例は、優れた技術シーズを事業化につなげた好事例であるという点であり、こうした成功例を次々に生み出していくことが必要であると実感をいたしました。
 例えば、赤崎先生、天野先生の成果について、国の投入した予算に対する投資効果を見れば、企業への開発費を含む文部科学省からの支援22億円に対し、国等に対して70億円を超える特許料等のリターンが得られているという数字があります。
 発光ダイオード関連の世界市場規模は1兆6,000億円程度と聞いておりますが、青色発光ダイオードが実現されていなければ、ここまでの市場規模にまで拡大することはなかったものであると思いますし、まさに世界を変えたイノベーションであると言えると思います。
 現在、研究資金制度改革の中で、新たな「知」の創造と蓄積から絶え間ないイノベーションの連鎖が生み出される仕組みについて検討を進めておりますが、まさにこういう事例が持続的に生み出せるようなシステム、制度を構築していきたいと考えます。

下村博文文部科学大臣記者会見録(平成26年10月10日)

 

http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1352484.htm

 

本日、名城大学 赤﨑勇教授(名古屋大学特別教授)および名古屋大学 天野浩教授がノーベル賞を受賞されましたが、受賞にあたり、豊田合成株式会社 社長 荒島 正 のコメントを紹介させていただきます。

 

このたびのご受賞を心よりお慶び申し上げます。

当社は、1986年から赤﨑先生のご指導を仰ぎ、1991年、世界に先駆けてGaN系青色発光ダイオード(LED)の開発に成功することができました。

その後も引き続き先生にご指導いただき、1995年には、事業化を成し遂げることができました。

LEDは低消費電力・長寿命といった特徴をもち、社会から「LED=省エネ」と大きな期待が持たれており、近年、電球や蛍光灯などの照明分野において急速にLED化が進むなどますますその適用分野が広がっています。

本年受賞の日本学士院賞・恩賜賞に続き、今回のノーベル賞受賞は、赤﨑先生がGaN系青色発光ダイオードの研究におけるパイオニアであり、その功績が認められたものでございます。当社としてもご功績を誇りに思うと共に、両先生の今後益々のご活躍を祈念いたします。

豊田合成株式会社
取締役社長
荒 島  正

 

名城大学教授 名古屋大学特別教授・名誉教授 赤﨑勇博士、名古屋大学大学院工学研究科教授 天野浩博士、カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授 中村修二博士がノーベル物理学賞を受賞されることに対して、心からお喜び申し上げます。

受賞理由は、「高輝度、省エネルギーの白色光源を可能とした高効率青色発光ダイオードの発明」です。赤﨑博士は窒化ガリウム(GaN)の高品質な単結晶の作製法を見つけました。天野博士は単結晶作製の成功と世界で初めてのMgドープp型GaN半導体を実現しました。中村博士はGaN系半導体発光素子の製造技術を確立し、白色光源への応用にもいち早く取り組みました。これらにより、GaN系半導体発光素子が実用化され、多くの研究者・企業が参入して様々な分野に応用され、イノベーションを引き起こしたことが高く評価されたものと思います。

JSTは、1986年より基礎研究の成果を実用化につなげるため、豊田合成株式会社との産学連携事業を支援しました。その結果1995年に青色LEDの事業化に成功しました。LEDを使用するフルカラーディスプレイは、従来のブラウン管方式などと比較して高輝度、低消費電力、軽量、長寿命などの優れた特長を持ち、また青色LEDなどを応用した白色LEDも開発され、スマートフォンなどの液晶表示のバックライトやLED照明などに使用され省電力へ大きく貢献しています。

窒化ガリウム半導体はさらに、電力の制御や供給を行うパワー半導体としての研究分野にも広がりをみせています。これは将来の省エネルギー技術やスマートグリッド技術への応用につながるものです。

このように赤﨑博士、天野博士、中村博士の成果は、21世紀のグリーンイノベーションにとって、なくてはならない技術となっています。JSTが研究を支援したことですばらしい成果を挙げたことに、ひとかたならぬ喜びを感じています。

2012年の山中博士に続く受賞は、わが国の基礎研究のレベルが幅広い分野において世界のトップクラスにあることを示しています。

赤﨑博士、天野博士、中村博士の受賞を心からお祝いするとともに、今後、JSTは、わが国の科学技術の発展に貢献できるよう、より一層の努力を続けていくつもりです。

2014年10月7日
独立行政法人科学技術振興機構 理事長 中村 道治

JSTとの関係(参考)

赤﨑博士は、高品質GaN単結晶の作製に成功した後、実用化を目指して、豊田合成株式会社(愛知県清須市)と1986年より5年間、科学技術振興機構(JST)の前身である新技術事業団の委託開発制度で「窒化ガリウム(GaN)青色発光ダイオードの製造技術」を実施し、青色発光ダイオードを実用化することに成功しました。

その後、天野博士のMgドープp型GaN半導体の成果を加え、JSTの委託開発制度でGaN単結晶を使ったレーザーの実用化について、引き続き豊田合成株式会社と「窒化ガリウム(GaN)系短波長半導体レーザーの製造技術(1993~2001)」を実施し、その成果は青紫半導体レーザーとして実用化され、ブルーレイディスクの光源など身近なところに実用化されています。

中村博士は創造科学技術推進事業(ERATO) の総括責任者として、2001年10月に「中村不均一結晶プロジェクト」を発足させました。同プロジェクトは、2007年3月に終了しましたが、非極性、反極性窒化ガリウム材料の研究など、次世代の発光デバイスにつながる大きな成果を残しています。

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川一夫

名城大学赤崎勇教授、名古屋大学天野浩教授、米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校中村修二教授のノーベル物理学賞のご受賞を心よりお祝い申し上げます。

青色発光ダイオードを発明された赤崎教授、天野教授と、量産化への道筋を開いた中村教授のこれまでの多大なご尽力について改めて敬意を表します。

現在では当たり前のように使われている青色発光ダイオードですが、世界の消費電力の大幅な削減に寄与するものであり、また高輝度なディスプレイやブルーレイディスクなどの開発を可能にするなど産業分野に与えた影響も計り知れないものです。

NEDOは、今回受賞の契機となった青色発光ダイオードの成果を活用し、LED照明等のプロジェクトを通じて実用化を支援してまいりました。特に天野教授にはプロジェクトリーダーとして、LEDの基板となる窒化ガリウム(GaN)結晶について、均一性が高く、高品質な結晶成長技術の確立に尽力いただきました。現在この成果は、更なるLED照明の高輝度、高演色性(色合い)を実現するGaN基板の開発や、さらに次世代のパワー半導体としての適用も見据えた高耐圧GaN基板の開発に繋がっています。

また、NEDOが進めている革新的超高効率太陽電池の開発においても、天野教授が開発したGaN結晶成長技術が活かされております。

赤崎教授、天野教授、中村教授、三氏の受賞を心からお祝いするとともに、NEDOとしても引き続き、本分野の技術開発や実用化に向けて貢献してまいります。

 

赤﨑先生の業績に対しては、これまでにすでに数えきれないほどの賞が贈られており、ここ数年でも2011年文化勲章、米国電気電子学会(IEEE)からの「エジソンメダル」、独立行政法人・科学技術振興機構(JST)からの「知的財産特別貢献賞」などを受賞され、2014年度も日本学士院賞、恩賜賞を受賞されたばかりでした。そうした中で、今年こそはと期待して待ち望んでいたノーベル賞の受賞となりました。赤﨑先生のこれまでの卓越した研究業績が、栄えあるノーベル賞に結びついたことを心からお喜び申し上げます。名城大学にとりましても大変な名誉であり、学生・卒業生・教職員の大きな誇りであることは申すまでもありません。

 

本学の元教授である赤﨑 勇名古屋大学特別教授・同名誉教授・名城大学教授と本学現職である天野 浩名古屋大学大学院工学研究科教授がノーベル物理学賞を受賞しました。

受賞理由は「明るく省エネルギーな白色光源を可能にした高効率の青色LEDの発明」です。両博士は、青色発光ダイオードの開発に取り組み、1985年に、LEDの材料となる無色透明な結晶を作ることに成功、その後、1989年には高輝度青色の青色LEDの開発に世界で初めて成功しました。現在では、携帯電話のバックライト、大型ディスプレイ、省エネ効果が高い交通信号、家庭用照明などや、情報の高密度記録高速処理を可能にするなど広く活用されています。
赤﨑 勇特別教授は、昭和34年名古屋大学工学部助手、昭和39年同助教授を歴任した後、同年名古屋大学大学院工学研究科で工学博士の学位を取得。その後、民間企業に勤務され、昭和56年名古屋大学工学部教授に就任。平成4年には名城大学理工学部教授に就任し、平成16年12月に名古屋大学特別教授になられています。
天野 浩工学研究科教授は、昭和58年本学工学部を卒業、昭和63年同大学院工学研究科博士課程を修了した後、名古屋大学助手、名城大学助教授、同教授を経て、平成22年から名古屋大学大学院工学研究科教授になられています。

 

このたびノーベル物理学賞に赤崎教授、天野教授、中村教授の日本人科学者3名が受賞されましたことを心からお慶び申し上げます。特に、当学部、大学院出身者の中村修二先生がそのお一人として栄誉に輝かれましたことは、誠に驚嘆すべき慶事で当学部、徳島大学にとり大きな名誉に存じます。このことは、後に続く学生、教職員全てにとりまして誇りとなるもので、心から感謝申し上げたいと存じます。

思い起こしますまでもなく、東日本大震災と続く原発の被災から、一挙に我が国は多くの人々が厳しい現実の中に生きる術を模索する毎日となりました。エネルギー危機は差し迫った社会の課題となり、私たちの身の回りでも灯りという灯りは圧倒的にエネルギー効率の高い発光ダイオード(LED)に、という流れが加速しました。この立役者となったのが、今回の3名の受賞者の方々、ならびに中村教授の青色LED研究をたった一言で了承された日亜化学工業の故小川信雄会長様と開発に尽力された同社経営陣と技術陣だったのではないかと思っております。

今回の受賞は、我が国の産学官共同の研究課題推進が功を奏した特筆すべき例となったものと思います。徳島大学ならびに徳島大学大学院、工学部は今回の中村先生の受賞を大きな励みとして、一層研究力を高めるとともに、進取の気風に富み創造力ある人材の育成に邁進し、我が国と世界の視野で活躍する一方、地域と社会にも貢献できる人材育成に努めて参ります。

 

改めて中村先生はじめ3名の方々の栄誉を讃えますとともに、心から敬意を表します。今後の益々のご活躍を期待申し上げております。

 

徳島大学工学部長

河村 保彦